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abさんご〈最初の晩餐〉#1 [abさんご]

「abさんご」〈最初の晩餐〉あらすじ

 新しく父の雇った家政婦が家に来た最初の日。
 当たり前のように食卓に三人分の皿が並べられた。
 これまで、使用人と同じ卓につくなどなかった親子は、
 その状況にひどく戸惑い、顔を見合わせつつも、
 家政婦を傷つけまいと、そのまま三人で食事をする。

 しかし紹介者にどう説明されて来たものか、
 その後の家政婦の態度から推測されるのは、
 自分は単に使用人というより、
 不自由している親子を助けてやって欲しいと、
 そう頼まれたから来たのだとでも言いたげで、
 その度に、父と子は困惑してしまうのだった。

 親子にとっての食卓は、
 ふたりだけの秘めやかな楽しみとして、
 それを邪魔されたくないと考えた父が、
 次からは別々にと、婉曲に断ってみたのだが、
 家政婦は、自身の立場など臆することもなく、
 賑やかなほうが嬉しいからと答えた。
 そうして、ふたりが折れるかたちで、
 家政婦を交えた食卓は、
 先ずは半年、そして五年と続けられた。

 これが、引っ越す前の屋敷暮らしだったのなら、
 一階の調理場から三階へ食事を運ぶだけでも大変で、
 きっと、家政婦の態度も違っていたのだろう。
 考えてみれば、今の小さな貸し家の暮らしには、
 この家政婦に気後れを感じさせるようなものは、
 何一つ見当たらなかったから、
 分をわきまえないその言動も、
 仕方のないことかもしれなかった。
 しかし、この家政婦の前にも雇っていた、
 旧家からそのままついて来た使用人たちや、
 その後に続いた者たちの誰一人として、
 食卓を供にしたいと言い出した使用人などいなかった。

 その夜、食事の後二人きりになると、
 また他の者を探すのも難しいと思った父は、
 その家政婦を雇うことにするよと伝えた。
 たとえそうなったからといって、
 親子の深い関係は決して壊されはしないと、
 二人は気軽に笑い合ってそれはあっさり納得された。
 この家に越して十年、主人公は十五歳となっていたが、
 その日を境として、
 永久に親子の食卓は喪われることとなった。

 --もどって読む--
 --つづきを読む--

(この章にでてくる言い回し)
両親に繋がるメタファーである盆提灯や書架の場合、
結局のところ見定めなかったという表現で、
その数が不鮮明であったのに対して、
新しい家政婦のメタファーとしての晩餐は、
他人と囲むことになった食卓の回数が、
一種執拗な尺度をもって語られます。

後じさる(後退る) → ひるむ
愛戯のひとつ →
二百の卓がかこまれ、二千の卓がそれにつづいた →

・コラム:やわらかい檻のせつなさ!


・あらすじを最初から読むなら!
・この人今はいくつなの?How old are they?
・これは誰なんですか?呼び名七変化~主人公の父編主人公編家事係編
タグ:あらすじ
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